前で投げられているかはこの角度でチェック!

 

 

前回、一番前でリリースするためには骨盤と体幹の動きが重要ということをお話しましたが、今回はその内容についてもう少しくわしく説明していきます。

 

下の写真はリリースの瞬間ですが、地面に対して垂直の軸(黒線)から体幹(赤線)がかなり前に傾いています。アメリカの投手ではこの傾きが32°から55°といわれ、この角度が大きい投手ほど球速が高い1)というデータも出ています。

 

パフォーマンス向上のためにはこの体幹の傾斜をいかにして作り出すかということが重要です。

 

前で投げられているかはこの角度でチェック!

ここで誤った解釈をしないように注意が必要なのは体が前に傾いているからといっておじぎをするような動きはしていないという点です。

写真の青線をご覧ください。この線は骨盤の傾斜を示していますが、前に傾いているのがお分かりかと思います。その一方で、体幹の軸である黒線は青線に対して垂直に近い角度になっています。

つまり、骨盤に対して体幹はそこまで動いていないことになり、骨盤が傾斜することでその上に乗っている体幹が前に傾いているということになります。先ほどの32°から55°の傾斜を生み出すためには骨盤の動きが重要であるといえます。

また、このフェーズの骨盤の動きは前に傾くだけでなく、左のおしりが引ける方向(右股関節内旋方向)に回転することで体幹の入れかえ(右投手では右肩が左肩よりも前に入れかわる)を可能にしています。

体幹が入れかわることでより腕を前に伸ばすことができます。右手を伸ばして前のものを取ろうとするときに、体を正対したままの状態よりも右肩を前、左肩を後ろに入れかえた方がより遠くまで手が届きますよね?

投球動作でこの動きが出てくると、よりバッターに近い位置でリリースすることが可能になり、パフォーマンス向上につながります。

今回の内容についてまとめると「一番前で投げる」とは、骨盤の動きが最も重要であり、それに連動して体幹が動き、最終的に腕が伸びることで完成される動作です。

腕や体幹だけでリリースをしようとすると、肘下がりや突っ込んだ形になってしまうので注意しましょう。

参考文献
1)Seroyer S.T et al: The Kinetic Chain in Overhand Pitching:Its Potential Role for Performance Enhancement and Injury Prevention,Sports Health,2010

スタッフ(理学療法士):芹田