第24回~骨粗鬆症と転倒の関係③

第24回~骨粗鬆症と転倒の関係③

 

今回は「骨粗鬆症と転倒の関係③」です。

 

前回骨粗鬆症では脆弱性骨折(骨粗鬆症が原因で発症する骨折)を防ぐこと、骨折の連鎖(脆弱性骨折後に再度骨折してしまうこと)を防ぐことが重要となることをお話ししました。

 

日本での地域在宅高齢者の年間転倒発生率は10〜25%程度で、一般住民の方では一般道路や歩道が転倒の発生場所の半数を占め、日中の外出機会が多い時間帯に転倒の頻度が高いという報告があります。

 

骨粗鬆症の予防と治療のガイドラインの中で中高年者の予防に関して「自己管理による歩行運動も有効である」、「一般中高年者には、歩行を中心とした運動の日常的実施を推奨する」(グレードB)と記載されており、骨粗鬆症の予防のためには歩行が重要であることが記載されています。

 

具体的な歩行の注意点として普段よりやや歩幅を広くして、やや速足で歩くことが薦められています。

 

通常速度での歩行では運動効果が少なく、1日30〜60分、1回で歩いても良いし、2〜3回に分けても良いと言われています。

 

また週2〜7回行うことが薦められています。

 

次回も予防方法をご紹介します。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第23回~歩行と骨粗鬆症の関係②

第23回~歩行と骨粗鬆症の関係②

 

今回は「歩行と骨粗鬆症の関係②」です。

 

骨粗鬆症が原因で発症する骨折を脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折といい、軽微な外力(一般的に立った高さからの転倒)で発生した骨折のことを指します。

 

骨粗鬆症では骨強度の低下に伴って骨折発生のリスクが増大すると言われています。

 

発生数が多い骨折の種類として椎体骨折(背骨の骨折)、大腿骨近位部骨折(大腿骨の付け根の骨折)、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)、上腕骨近位部骨折(上腕骨の付け根の骨折)があり、これらは高齢者の四大骨折とも呼ばれます。

 

脆弱性骨折を受傷してしまうと再度骨折してしまうリスクが高くなってしまいます。

 

これを「骨折の連鎖」と言います。

 

さらに驚くべきことに例えば椎体骨折を一度受傷すると前腕、椎体、大腿骨近位部を骨折するリスクがそれぞれ1.4倍、4.4倍、2.3倍に高くなるとの報告もあります(Klotzbuecher CMら、2000)。

 

そのため骨粗鬆症では脆弱性骨折を防ぐこと、骨折の連鎖を防ぐことが非常に重要となります。

 

次回具体的な予防方法についてお話しします。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第22回~歩行と骨粗鬆症の関係①

第22回~歩行と骨粗鬆症の関係①

 

今回は「歩行と骨粗鬆症の関係①」です。

 

皆さん骨粗鬆症という言葉を一度は聞かれたことがあるかと思います。

 

骨粗鬆症というのは骨がもろくなり、骨折しやすい状態にある全身的な骨の問題です。

 

原因は2つあり、1つ目に20歳代までに獲得する最大骨量(これが生涯で最大となる骨量)が少ないことです。

 

2つ目に骨は生涯にわたって絶えず古い骨を吸収して新しい骨を作る新陳代謝を繰り返しており、このバランスが崩れ、骨を壊す方が勝ることによって骨量が減少することがあげられます。

 

このバランスが崩れる原因は主に閉経、加齢、運動不足があります。

 

骨粗鬆症の日本の患者数は1,280万人(男性約300万人、女性約980万人)と推計されています。

 

言い換えると約10人に1人の割合で骨粗鬆症の方がおられるということです。

 

「骨粗鬆症は骨の老化の問題だから仕方がない」と思われていないでしょうか?

 

多くは骨粗鬆症治療も転倒などで骨折を起こしてからやっと始めるという方が多いのが現状です。

 

ぜひ予防の観点から考えてみてください。

 

次回は「歩行と骨粗鬆症②」です。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第20回~フレイルと筋肉について

第20回~フレイルと筋肉について

 

これまでフレイルと歩行についてお話ししてきました。

 

歩行以外にもフレイル判定の運動機能として筋力を指標とすることもあります。

 

今回は筋力測定の中でも簡便でスポーツテストなどで多くの方は経験したことのある握力についてお話しします。

 

まず測定方法の一例として①両足を肩幅に開いて立ち、②グリップの握る位置を握りやすいように調整する、③測定時は立位とし、全力で握る、④利き手で2回測定します。

 

その際の注意点として腕は上体から離れすぎず、また腕が上体についたり振り回したり、膝を曲げたりしない、②2回の測定値の高い方を記録とします。

 

握力とフレイルの関係として「フレイル判定・診断の提案」(J-CHS)では男性が26kg未満、女性が18kg未満を基準としています。

 

握力は脚や体幹などのより大きな部位の筋力と関係が深く、個人間の全身の筋力の優劣を相対的に反映しているとも言われています。

 

スポーツ施設などで定期的に測定してみてはいかがでしょうか。

 

次回はフレイルと栄養についてお話しします。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第19回~フレイルを予防するためのウォーキングに一工夫を

第19回~フレイルを予防するためのウォーキングに一工夫を

 

高齢期において、目的を持った生活を続け、継続的に毎日の歩数や身体活動量が多いことが、フレイルや筋力低下を予防する上で重要であるとされています。

 

このように積極的に体を動かすことでフレイルを予防することが期待できます。

 

しかしどのような運動をすれば効果的なのでしょうか?

 

また続けやすい運動とはどのようなものでしょうか?

 

前回はウォーキングについてお話ししましたが、今回ご紹介したいのはスロージョギングと呼ばれるものです。

 

北嶋らは歩行速度のペースで行うスロージョギングは主観的な運動強度の感じ方は同一速度の歩行と同じであるにも関わらず、酸素摂取量が高いという特徴があると報告しています。

 

池永らは歩行速度のペースで行うスロージョギングの効果として12週間続けることで、有酸素能の向上と太ももの筋細胞の量が増えることが明らかになったと報告しています。

 

ぜひ普段のウォーキングに一工夫を加え、より効果的にフレイルを予防してみてください。

 

次回はフレイルと筋力についてお話しします。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第18回~フレイルを予防するためにはどのような歩き方がいいのか?

第18回~フレイルを予防するためにはどのような歩き方がいいのか?

 

前回は歩行とフレイルについてお話ししました。

 

高齢期において、目的を持った生活を続け、継続的に毎日の歩数や身体活動量が多いことが、フレイルや筋力低下を予防する上で重要であるとされています。

 

このように効果的に体を動かすことでフレイルを予防することが期待できます。

 

ではフレイルを予防するためにはどのような歩き方がよいのでしょうか?

 

国立長寿医療研究センターによるウォーキング指導におけるチェックポイントの例として①視線は前方に、②上半身を起こす、③手はしっかり後ろに振る、④腹筋はしめておく、⑤しっかり蹴りだす、⑥踵から足をおろす、⑦いつもより大股で、を列挙しています。

 

またウォーキングに限らず運動を行う上で重要なことはいかに継続して行うかということです。

 

工夫の一例として毎日の歩数や歩行時間を記録してもらうこと、そして必ず1日の目標歩数など達成度がわかる指標を設け、定期的に結果を評価することです。

 

次回は「フレイルを予防するためのウォーキングに一工夫を」についてお話しします。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第17回~歩行とフレイルについて

第17回~歩行とフレイルについて

 

今回から歩行とフレイルについてお話しします。

 

前回フレイル判定に用いられる歩行の加齢による変化として、①歩行動作の変化に伴い歩行速度が低下し、高齢者ではその低下が顕著であること、②普通歩行速度1.0m/秒未満、③歩行速度の低下は体力の低下、特に筋力の低下と関連している、の3点が報告されていることをお伝えしました。

 

以前の記事でも記載しましたが歳を重ねると様々な身体の変化が現れてきます。

 

筋力や体力、バランス能力などが低下し、姿勢も徐々に変形してきます。

 

その影響が歩行には現れやすいのです。

 

私たちは治療する際に病名のみを聞いてすぐにベッドに横になってもらい治療するわけではなく、姿勢や歩行動作、痛みの原因となる動きなどを必ず確認します。

 

そしてその情報を元に病名や身体機能と結びつけて治療方法を選択するのです。

 

特に歩行は日常生活で移動するための大切な手段であり、全身を使った運動であることから治療手段の選択や治療前後の変化をみるためには非常に重要な要素となります。

 

次回は歩行とフレイルについてさらに詳しくお伝えしてきます。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第16回~フレイル(2)

第16回~フレイル(2)

 

今回もフレイルの危険性についてお話しします。

 

フレイルは「高齢期に生理的予備機能が低下することで、ストレスに対する脆弱性が亢進して不健康を引き起こしやすい状態」と提唱されていることを前回ご説明しました。

 

フレイルの判定基準としては「①体重減少、②筋力低下、③疲労、④歩行速度の低下、⑤進呈活動の低下の5要素のうち3つ以上に該当する状態」とされています。

 

特に歩行速度の低下は将来の要介護発生のリスクを上昇させる要因となると報告されており、高齢期では歩行機能に着目することが重要です。

 

フレイル判定に用いられる歩行の加齢による変化として、①歩行動作の変化に伴い歩行速度が低下し、高齢者ではその低下が顕著であること、②普通歩行速度1.0m/秒未満、③歩行速度の低下は体力の低下、特に筋力の低下と関連している、の3点が報告されています。

 

つまりこれら歩行の変化点に注意し、フレイルを予防していくことが大切なのです。

 

次回は「歩行とフレイル」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第15回~フレイル

第15回~フレイル

 

今回は「フレイル」についてです。

 

フレイルという言葉を聞かれたことがありますか?

 

元々高齢期において生理的予備機能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進して不健康を引き起こしやすい状態を“frailty”とされていました。

 

以前日本ではこの単語を「虚弱」や「老衰」などと表記されることが多く、懸念されてきました。

 

このことから2014年5月に日本老年医学会から“frailty”の日本語表記として「フレイル」を用いるとの提言がなされ、現在一般的に認知されるようになってきました。

 

フレイルの判定基準として「①体重減少、②筋力低下、③疲労、④歩行速度の低下、⑤進呈活動の低下の5要素のうち3つ以上に該当する状態」とされています。

 

またフレイルは身体機能の問題のみを意味するわけではなく、認知機能障害やうつなどの精神、心理的問題、家庭環境や経済状況などの社会的問題も含む概念とされています。

 

さらにフレイルの高齢者は健常な高齢者に比べて生命予後が悪く、入院のリスクも高く、転倒する可能性が高いことも報告されており、いかに予防するかが大切になってきます。

 

次回もフレイルの危険性についてお話しします。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第14回~転倒を予防するためのバランス運動

第14回~転倒を予防するためのバランス運動

 

今回は「転倒を予防するためのバランス運動」です。

 

以前運動器不安定症の診断基準としてご紹介した開眼片脚起立を行います。

 

運動をするための準備として転倒しないように必ずつかまるものがあるところで行うようにします。

 

方法は片方の足を床につかない程度にあげます。

 

1分間立つことを目標にします。

 

途中で足が床についても再度挑戦し、合計で1分間片脚立ちすることを目指しましょう。

 

またただ足を上げて立つだけでなく軸足、上半身はなるべくまっすぐに保つように心がけます。

 

手を離して行うことが難しい場合は片手で軽くものを持ちながら行います。

 

この際に足を上げた方の手でものを持つようにします。

 

軸足側の手でものを持ってしまうと安定しすぎてしまい十分な運動強度にならないからです。

 

1日3回ずつ行うことを目標にしましょう。

 

次回は「フレイル」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平