第14回~転倒を予防するためのバランス運動

第14回~転倒を予防するためのバランス運動

 

今回は「転倒を予防するためのバランス運動」です。

 

以前運動器不安定症の診断基準としてご紹介した開眼片脚起立を行います。

 

運動をするための準備として転倒しないように必ずつかまるものがあるところで行うようにします。

 

方法は片方の足を床につかない程度にあげます。

 

1分間立つことを目標にします。

 

途中で足が床についても再度挑戦し、合計で1分間片脚立ちすることを目指しましょう。

 

またただ足を上げて立つだけでなく軸足、上半身はなるべくまっすぐに保つように心がけます。

 

手を離して行うことが難しい場合は片手で軽くものを持ちながら行います。

 

この際に足を上げた方の手でものを持つようにします。

 

軸足側の手でものを持ってしまうと安定しすぎてしまい十分な運動強度にならないからです。

 

1日3回ずつ行うことを目標にしましょう。

 

次回は「フレイル」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第13回~下半身を強化するスクワット

第13回~下半身を強化するスクワット

 

今回は「下半身を強化するスクワット」をご紹介します。

 

スクワットは下半身の筋肉を全体的に鍛えることができますし、筋力のトレーニングとしてだけではなく全身の協調性のトレーニングとしても有効です。

 

方法は肩幅よりやや広く足を開き、つま先をまっすぐ前もしくはやや外側に向けます。

 

膝がつま先よりも前に出ないようにお尻を後ろに突き出すようにしながらゆっくりと膝を曲げます。

 

こうすることで膝に負担をかけないようにすることと、おしりと太ももの裏の筋肉をしっかりと使うことができます。

 

またこの時に膝の曲がりが90度を超えないようにすること、勢いをつけずゆっくり行うこと、つま先に対して膝が内側や外側を向かないようにつま先と膝の向きを揃えることなどに注意します。

 

そこからゆっくりと膝を伸ばし、元の開始姿勢に戻ります。

 

この方法が難しい場合は安定したものにつかまりながら行ったり、椅子から立つ運動で代用することもできます。

 

次回は「転倒を予防するためのバランス運動」です。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第11回~つまずきによる転倒とその予防法

第11回~つまずきによる転倒とその予防法

 

今回は「つまずきによる転倒とその予防法」についてです。

 

転倒の理由としていろいろなものがありますがその中でも「つまずいた」が最も多いという報告があります。

 

つま先が上がらずにつまずいてしまう原因を考えると、その一つに筋力の低下が考えられます。

 

つま先を上げる主な筋肉はすねの横にある前脛骨筋(ぜんけいこつきん)という筋肉になります。

 

この筋肉はつま先を上げる働きと足を内側にひねる働きを持ちます。これによって歩く際の重心移動をスムーズに行うことにもつながります。

 

この筋肉のトレーニング方法を紹介します。

 

いすなどに腰掛け、かかとを床につけます。

 

かかとを前方へ押し出すようなイメージでつま先を反らします。

 

次にゆっくりと元の開始位置までつま先を戻し、これを繰り返します。

 

ゴムチューブなどを足のつけ根に巻いて行うことでより負荷をかけることができますので試してみてください。

 

次回のテーマは「歩く時にしっかり足が上がるためには?腸腰筋の重要性?」です。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第10回~運動器不安症

第10回~運動器不安症

 

前回は転倒経験のある人の歩き方の特徴や歩く能力の低下が転倒と深く結びついていることを説明しました。

 

今回は「運動器不安定症」についてです。

 

「運動器不安定症」とは高齢化などにより、バランス能力が低下し、その結果閉じこもり・転倒のリスクが高まった状態と定義されています。

 

運動器不安定症の診断基準のテストは2つあります。

 

一つは「開眼片脚起立時間」です。

 

方法は目を開けた状態で両手はどこにも捕まらず、片脚にてバランスを保ち、上げていた足が地に着くまでの時間を計測します。

 

二つ目は「3m Timed up and go test」です。

 

方法は椅子に座った状態から立ち上がり、3m先まで歩いてから再び戻り椅子に座るまでの時間を計測します。

 

開眼片脚起立時間が15秒未満、3m Timed up and go testが11秒未満の場合は運動器不安定症と診断されます。

 

詳しくは公益社団法人日本整形外科学会のホームページをご覧ください。

 

次回は「つまずきによる転倒とその予防法」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第9回~高齢者の歩き方と転倒

第9回~高齢者の歩き方と転倒

 

今回は「高齢者の歩きと転倒」についてです。

 

日本での転倒の発生率は地域高齢者では約10〜20%と報告されており、転倒によって骨折などを受傷することで寝たきりになる可能性が高くなると考えられます。

 

転倒の経験がある人とない人で歩き方を比べた時に転倒を経験したことがある人は「歩く速度が遅い」、「歩幅が小さい」、「歩調の変動が大きい」といった特徴があるといわれています。

 

これはただ単に歩く速さや歩幅の問題だけではなく、歩き方が不安定になると転びやすいということを示しています。

 

また米国老年医学会のガイドラインにおいても歩行能力が低下することで転倒発生の危険度が2.9倍になると報告されています。

 

さらに転倒の多くは歩いている際に起こることからも歩く能力の低下は転倒につながる可能性が高いと言えます。

 

そのため転倒を予防するための方法の一つとして歩く能力が低下していることに気づくこと、またこれらを予防することがとても大切になってきます。

 

次回は「運動器不安定症」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第8回~高齢者の歩き方

第8回~高齢者の歩き方

 

今回は「高齢者の歩き方」についてです。

 

前回もお話ししましたが高齢者になると筋力や体力、バランス能力が徐々に低下していき、姿勢も変化していきます。

 

それに伴って歩き方にも変化がみられます。

 

高齢者の歩行の特徴として、以下のものがあげられます。

 

①歩行速度の低下

②歩幅の短縮

③片足が床から離れている時間の短縮、両足が着いている時間の延長

④つま先が外側をむきやすい

⑤足を床から上げる高さの低下

⑥腕振りの減少

⑦胴体のひねりの減少

⑧不安定な方向転換

⑨歩く中での足首と股関節の動きの減少

⑩体が前かがみになり、ひざが曲がりやすい

 

などがあります。

 

これらが全て当てはまることもあれば一つもしくはいくつかあてはまる場合もあります。

 

これらは年齢を重ねるとともにいつの間にか進行していることが多く、なかなかすぐには気づかないこともあります。

 

そのためぜひ知識のある専門家に定期的に検査してもらうことをおすすめします。

 

次回は「高齢者の歩きと転倒について」です。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第7回~高齢者の歩く速さ

第7回~高齢者の歩く速さ

 

今回は「高齢者の歩く速さ」についてです。

 

人間は歳を重ねるに連れてからだの機能は徐々に低下していきます。

 

筋力、関節可動域、バランス能力、姿勢などがそれにあたります。

 

それに伴って歩行も変化していきます。

 

歩く速さもその一つで50歳代までは比較的緩やかに低下しますが、60歳を超えると急激に低下し、臨界点は62歳ごろという報告もあります。

 

歩く速さは以前お話ししたように認知症との関連も報告されており、重要なポイントの一つです。

 

加齢による歩く速さの低下は主に歩幅の減少で生じているとされています。

 

そのため早く歩こうとすると若い人では歩幅を大きくして大股であるくことで対応できますが、高齢者の場合これが難しいため歩数を多くして対応する傾向にあります。

 

また普段の歩行の中でリズムや速さ、歩幅の変動が大きい人は転倒しやすいことも報告されており、歩く姿勢だけをみるのではなく歩く速さを気にすることも大切です。

 

次回は「高齢者の歩き方」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第6回~高齢者こそ歩行が重要

第6回~高齢者こそ歩行が重要

 

今回のテーマは「高齢者こそ歩行が重要」です。

 

年齢を重ねるほど歩行能力が体力水準や健康状態を反映すると言われています。

 

普段歩く際などに何気なく使う「体力」という言葉は実は主に「筋力」、「柔軟性」、「持久力」、「バランス能力」、「全身協調性」という5つの能力から成り立っています。

 

若い頃はこれら全体がある程度の高い値にあり、またそれぞれが独立してなりたっているためどれかが突出することも珍しくありません。

 

このような傾向はトップアスリートの中にもみかけることがありますがこういった選手は若いから活躍できるのです。

 

東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利先生によると歳をとってくると、5つの能力は関連性を強め、「どれかが強く、どれかが弱い」ということがなくなり、「どれか1つが弱いということは、他の4つも弱い」という状態になってきます。

 

歩行はこれら5つの要素を含んでいることから健康状態を表していると言われています。

 

次回は「高齢者の歩く速さ」についてです。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第5回~パーキンソン病の歩き方と認知症の関係

第5回~パーキンソン病の歩き方と認知症の関係

 

今回は「パーキンソン病の歩き方と認知症の関係」についてです。

 

パーキンソン病は緩やかに進行していく神経変性疾患の一つです。

 

振戦(ふるえ)、無動(動作緩慢)、固縮(筋肉のこわばり)、姿勢反射障害(バランスがうまくとれなくなる)が四大徴候といわれていますが、認知機能障害や精神障害などもみられます。

 

パーキンソン病患者の歩き方の特徴として前かがみ姿勢、歩幅が小刻み、歩く速度が低下、腕振りの減少などがみられます。

 

また病状が進行すると足が前に出にくくなるすくみ足も出現しやすくなります。

 

パーキンソン病の歩行障害は認知症発症の危険因子とされており、またそれらは転倒や寝たきりにもつながる危険性があります。

 

しかし中には歩き方の変化を患者自身や家族が理解しておらず、老化の一つと捉えてしまい、見過ごしていることがあります。

 

パーキンソン病は早い時期に治療や予防、リハビリテーションなどを行うことで進行を遅らせることが可能です。

 

次回のテーマは「高齢者こそ歩行が重要」です。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平

 

第4回~こんな歩き方は認知症の予兆?

第4回~こんな歩き方は認知症の予兆?

 

今回は「こんな歩き方は認知症の予兆?」についてお話します。

 

実は病気を発症すると特徴的な歩き方をするものがいくつかあります。

 

例えば歩く時に両足が外側に広がり歩幅が極端に狭く、足が地面から離れにくくなるような歩き方をする場合は正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)の可能性があります。

 

正常圧水頭症はこれらの歩き方に加え「認知症」、「尿失禁」が現れるのも特徴です。

 

正常圧水頭症によって起こる認知症は手術により治療が可能な認知症とも言われており、治療が早ければこれらの症状が改善することもあります。

 

しかし認知症は老化によるものと考えやすく、なかなか病気として認識することが難しいのが現状です。

 

正常圧水頭症は発見が遅れることで手術による効果が乏しくなることから、歩き方をみてこれらの特徴が思い当たる場合はすぐに医療機関を受診してください。

 

島根大学医学部附属病院:川本晃平